緑化パーキングは家庭の外構で使える?③値段から理由を考えてみる 2015-8-25

緑化パーキングの枯れた部分を目土などを加えて養生している。こうした手間が掛かるのも植物を使う宿命。
緑化パーキングの枯れた部分を目土などを加えて養生している。こうした手間が掛かるのも植物を使う宿命。

緑化パーキングについてのブログ。第三回です。

第一回『アリかナシか施工写真から考える』、第二回『綺麗になりにくいのに何故使うのか』と書いてきました。

 

第二回の終わりに、緑化パーキングがあまり一般家庭で使われないのは、生きている植物を使うということに起因する管理の問題?と書きましたが、それだけならばお庭好きの方にはもっと普及すると思うので、他の原因がないのか?と思ったときに一番に頭に浮かぶ問題。そう、値段の問題を今回は調べてみます。

緑化パーキングは作るのに幾らかかる?

セメント系緑化パーキングの施工標準。計画高より360mm下がり(路床50とすると310)まで土工事をする必要がある。
セメント系緑化パーキングの施工標準。計画高より360mm下がり(路床50とすると310)まで土工事をする必要がある。
こちらが弊社の使用しているコンクリート土間の仕様。土工事は200mmで済む。
こちらが弊社の使用しているコンクリート土間の仕様。土工事は200mmで済む。

タイヤのある図がセメント系の資材を使った緑化パーキングの断面図です。そして、もう一つの断面図がコンクリート土間の断面図です。

ここからは分かりやすくする為に、お金を用いて緑化パーキングとコンクリート土間を比較して行きます。

仮に1平米の土間コンクリート単価が¥10,000だった場合。


その内訳を

・土工事(200mm剝き取り)  ¥3000

・砕石(100mm厚)      ¥2000 

・コンクリート          ¥4000

・メッシュ筋・スペーサー     ¥1000

で合計10,000円だったとします。


そのとき緑化パーキングの土工事は計画高から360mmとなっているので

コンクリート土間は200mmの1.8倍かかります。

ここで土工事は

・¥3000×1.8=¥5400


次に砕石ですが、土工事の際に余分に剝き取っているので、当然増えます。

(本当は違いますが)砂と砂利を同じ単価だと考え、厚みだけを出すと100→230となり2.3倍。

そして、更に、砂→砕石→砂という、手間がより多くかかる行程を考えると、3倍は値段がかかると思われます。

そこで砕石は

・¥2000×3=¥6000


次にコンクリートの部分ですが、これが緑化パーキングの部分になるので緑化パーキングの値段を入れるとすると(仮にY社のLという商品を使います)

・¥6600



最後にメッシュ筋とスペーサーですが、これは透水シートと同じ値段と仮定して手間も含めて

・¥1000


合計すると1平米あたりの緑化パーキングの値段は


5400+6000+6600+1000=19000


平米あたり19,000円・・・大体コンクリートの倍の値段がする訳です。


しかし、さらに追い打ちをかける物が残っています。

芝生です。


Y社のカタログには、車等の圧力に耐えられるような芝生を育てる為に良い専用の土が有ると良いと書いてあります。今までの施工写真を見る限り、ちゃんとした材料で施工する方が管理も良くなると思うので採用するとすると


平米あたり(10cm厚)のお値段が

・¥6500(送料とかも有るかもしれないのですが、今回は割愛)


また、芝生自体の材料費と施工費も考えないといけません。

・¥3000


こう考えると、

19000+6500+3000=28500


そして、経費諸々考えると、平米あたりコンクリートの約3倍のお値段、

平米あたり¥30000という値段が導きだされます。


これは、高い!!!


緑化パーキングが普及しない理由は『値段が高くて管理が難しい』

3回にわたって、緑化パーキングの事に付いて検証して来ましたが、管理が難しくて、更に値段が高いものを人は選ばないのではないでしょうか?


勧める立場にある、私たちのようなデザイナーも、このように概算を出した時点で『高い!』と思ってしまうだろうし、そうなった時点で、よほど関心の有るお客様でない限り、勧めなくなります。


車のタイヤの部分だけをコンクリートで舗装する方法
車のタイヤの部分だけをコンクリートで舗装する方法

そうなると、やはり沈下の心配の少ないコンクリートを車のタイヤがのる部分に施工し、おなかの部分を芝生や他のグランドカバーで緑化する言う方法をお勧めしたいと思う様に(私は)なります。

 

こちらの尾張旭のお客様も、駐車場を一台分増やしたいというご相談でしたが、ただコンクリートを伸ばすだけではなく、おなかの部分を芝生に。そして、ダイニングの窓から見える部分は庭になる様に石でリズムを付けてデザインするという手法を採用して、大満足だと言って頂きました。

 

 

しかしながら、私はどうにもあきらめきれません。

やはり、100%緑化された芝生の駐車場に強いあこがれを感じます。

これからの時代、こういう物がやっぱり必要なのではないでしょうか?

 

本当にこれだけの土の置換が必要なのか?他の材料で良い結果を残せる物は無いのか?

もっと研究してみたいなあ・・・メーカーさん!ガーデンドクター柴ちゃんと一緒に、

日本の未来のエクステリアの為に研究開発しませんか?

きっと良い結果が生まれると思いますよ!!!

 

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