アメリカの職人さんと話して、外構と庭の未来について考えてみた 2015-3-9

アメリカの職人さんと話してみた そして庭と外構の未来について考えた
アメリカの職人さんと話してみた そして庭と外構の未来について考えた
皆様こんにちは!名古屋市守山区で外構と庭の専門店をしている、イギリス帰りのガーデン&エクステリアデザイナー『ガーデンドクター柴ちゃん』がお送りする柴ちゃんブログ。
現地からのリアルタイムレポート第5弾!!(と言っても先程帰国したてで、寝てなくて変な文章になってたらごめんなさい)
今回は、カリフォルニアのバルボア島の職人さんインタビュー!

アメリカの職人さんはとても気の良いお兄さん

インタビューと言っても、少し会話しただけですが、
現地の職人さんと話す機会なんて皆無に等しいと思います。
同業のかたも参考になるかもしれません。
(実際は英語で話しましたが、日本語で書きます。)
お兄さんは、多分ヒスパニック系。カリフォルニア州にはヒスパニック系(主にメキシコからの移民)がたくさんいます。その数はカリフォルニア州の人口の約40%!そのせいか、聞こえてくる話し言葉は英語ではない事もしばしばでしたが、お兄さんは綺麗なアメリカ英語で受け答えしてくれました。
柴垣〉こんにちは。
職人さん〉こんにちは。調子はどうだい?
柴垣〉いいねえ。最高だよ。
職人さん〉ここのオーナー?
柴垣〉いや、違うよ。日本から来て庭を見てるんだけど、工事現場を見つけたからちょっとみさせてもらったんだ。
職人さん〉そうなんだ。
柴垣〉僕らも同じ仕事だからね。
職人さん〉そうかい。(話しながらも機械を始動させる)
柴垣〉大きい機械だね。
職人さん〉これ?ああ、そうだね。最近手に入れたんだ。こいつは最高だよ。
柴垣〉電動じゃないんだ。エンジンで動くんだね。
職人さん〉そうさ。パワーがあるからね。こいつは80〜90年代の機械だけど、これがいいんだ。
柴垣〉そんなに古いの?なぜそれが良いの?
職人さん〉今のやつは、一度にたくさん作れない。開口部も広くないから使いにくいし、パワーが無いからね。これは中のブレードを全部新しくしたんだ。
柴垣〉そうなんだ。見ても良い?
職人さん〉ああ、いいよ!
エンジン式のモルタルミキサー 年代物だ
エンジン式のモルタルミキサー 年代物だ
柴垣〉確かに口が広いね。でも、危なそうだね。ブレードも新品だし。
職人さん〉そりゃそうだ。これはとっても危ないから絶対手とか入れちゃダメだ。
柴垣〉だよね。
こんな感じで会話をしました。
この後、職人さんは黙々と作業を始めます。
日本では馴染みのない、柄の長いスコップで広い開口部へ砂を入れていく職人さん。
日本では馴染みのない、柄の長いスコップで広い開口部へ砂を入れていく職人さん。

この職人さんは、モルタル(セメントと砂と水を練って作る物)を作っていました。現場を見てみると、この様に外壁の下地を塗っている最中でした。

モルタルを家の外壁にに塗る職人さん 家の外壁の下地塗り
モルタルを家の外壁にに塗る職人さん 家の外壁の下地塗り
ここで、柴垣か感じたアメリカの職人さんの感じをまとめると、
・陽気(ヒスパニック系だから?)
・ちょっと大雑把(余り細かい事は気にしない)
・安全も大事だとおもっているが、規則に縛られたりしていない
大まかに、こんな感じです。
他の写真を見てみると
道具はまとまっているが、安全養生とか関係なし ヘルメットもなし
道具はまとまっているが、安全養生とか関係なし ヘルメットもなし
こんな感じでした。
本来アメリカは訴訟の国です。
何でもかんでも訴えられます。
(散歩中に犬に吠えられて、それが怖かったからと言う理由で犬の飼い主を訴えて、賠償額一億円とか、そんな漫画のようなケースもあるそうです。)
だけと、ヘルメットを被った職人さんはあまり見ませんでした。
この点はかなり意外。
私がイギリスで働いていた時は、『Helth & Safety』と言う厳しい法律があって
かなりしっかりまもっていた記憶があったので、二度びっくりしました。
アメリカにいるヒスパニックの人達の中には、沢山の不法滞在者も居るそうです。
そう言う人達は元々不法滞在だから、訴訟もへったくれも無い。
そう言う事かなあ?
今回の視察では、24億円の豪邸も視察したのですが、そこの隣で新築していた工事現場でも
沢山の移民であろう方が働かれていました。彼等も誰一人として、ヘルメットを被っていなかった。
帽子は被っているが、ヘルメットは被っていない かなり危ない現場に見えるのだが…
帽子は被っているが、ヘルメットは被っていない かなり危ない現場に見えるのだが…
今回、現地に住んでいる友達に会う機会があって、色々聞いたのですが、カリフォルニア州では、現場は移民の方々が多いと言う事です。
そのなかには不法滞在している人も多いそうで、そう言う人等にも何らかの働ける資格を出そうと言う動きもあるそうです。
私が今回のアメリカ視察で感じたことの一つに、『結構、左官の技術を使った仕上げが多い』と言う事が有りました。
こんなに沢山の左官仕上げは誰がやったんだろう?と思ったのですが、移民の方々がやられていたんですね。
アメリカにそもそも左官の技術が有ったのかは分かりませんが、とにかく資本主義の原則に基づいて安くて良いものを使って物を作るわけです。
イギリスでも同じ。あの国はEUと言う共同体に属しているため、イギリスで働くのはEU加盟国の人が優先になります(よって、日本人には不利)が、やはり移民の人の労働者が多い。
その辺りの事は、元々の国の人の働き口が、他のEUから来た人に取られてしまって、働き口がなくなると言う事で、EU全土で問題になっている。
余りその辺りの事情には詳しくありませんが、私が感じたことをまとめると
①資本主義が成熟する②良い物をより安くつくる③安い労働者が必要④移民が増える
とこの様なサイクルが発生する気がします。そして、追い討ちをかけるように日本は少子化です。
そうなると、これから先の日本はどうなっていくのか?どんどん外国人労働者が増える?
私は世界に誇れる日本の文化と技術を残したい。庭の文化だけでなく、左官や建築も。これには高い技術力を持った職人さんの確保が欠かせません。そうでないと、日本の繊細なもの作りがどんどんと無くなっていってしまう。
 
ここで、私が出来ることは職人さんにより良い環境を提供し、日本の文化と技術を残せる環境を作ることだと思います。
その為には、自分の知識と経験を高めていく事が欠かせません。
今回のアメリカ視察は、新しい知識の吸収だけでなく、今の自分が置かれている状況を見直す絶好の機会になりました。
最高の経験をさせてくれた株式会社 Gテリアさん、トップツアーさん。
本当に有難うございました。本当に来年も行きたいので、どうかよろしくお願いします。